G7広島サミットが残したこと

5月19日から21日に開催されたG7広島サミットが閉幕して1週間が経ちました。
この間、それほど大きな話題もなくひっそりと行われていたように感じています。

今回のサミットは開催国の岸田総理が議長となり、どのようにリーダーシップを発揮するか
注目されていました。印象としては岸田総理は根回しのできる方だと感じました。
これはビジネスの世界では非常に重要なことです。政治の世界でも根回しは非常に
重要です。結果の良し悪しに大きく影響する。岸田総理はこのサミットに
戦時下の大統領を招待するというサプライズを演出しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は当初は対面ではなくオンラインで出席するだけだったのを、
広島の地に招待するというサプライズを行いました。
そのゼレンスキー大統領を広島に招待するために、事前に新興国を歴訪した際に
急遽、戦時下のウクライナを電撃訪問した。そこで何を話されたのかは不明ですが、
広島サミットにオンラインではなく対面での参加を打診したと言われている。

またゼレンスキー大統領の招待と並ぶ今回の目玉はグローバルサウスの筆頭格の
インドのモディ首相をG7サミットに招待し、ロシアと微妙な関係を保っているインドを
反ロシア側に引き込むという演出をやってのけた。

インドとロシアの密接な関係は冷戦期にまでさかのぼる。「非同盟」を掲げてきたインドだが、
米中接近や中国・パキスタン関係の強化という事態を受けて、1971年には当時のソ連との間で
軍事同盟的性格の強い「平和友好協力条約」を結んだ。1979年にソ連がアフガニスタンに侵攻した際には、
翌1980年1月に開かれた国連総会の緊急特別会合でソ連を事実上支持するという、
今回の先例とも言える立場をとったこともあった。
カシミール問題でインドに不利な決議案が安保理に提出された際、拒否権を発動して不採択に導いたのはソ連だった。

この関係はソ連が崩壊してロシアになってからも続き、両国は軍事以外にもエネルギー(原発)、科学技術、
宇宙開発といった分野で協力を進めてきた。インドは日本と「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を
構築しているが、ロシアとは「特別かつ特恵的(privileged)な戦略的パートナーシップ」とさらに踏み込んだ
関係と位置づけている。BRICSやインド・中国・ロシア3カ国会議、上海協力機構(SCO)といった多国間の枠組みでの協力もある。


インドとウクライナの首脳がロシアの侵攻後、対面で会ったのはこのサミットが初である。
テレビで見た会談の冒頭の場面では両者が和やかに話をしていたことに世界は安堵したのでは
ないだろうか。2022年の2月の国連のロシアのウクライナ侵攻に対しての
非難決議に棄権をしたのが中国・アラブ首長国連邦とインドの3か国でした。
このサミットでインドがロシアとの仲裁に入ることに期待をしている。

この会談のお膳立てをした岸田総理は素晴らしいと私は評価しています。
大きな成果がないと言われたこのサミットですが、
ウクライナ戦争もAIの進歩もこのサミットから大きく流れが変わると期待している。


派手な演出はなかった広島サミットですが、随所に大きな成果が期待できる
ものがあったと思っています。個人的にはAIや仮想通貨の枠組みや規制がしっかりとでき
本格的に研究や利用が進むことを期待しています。
核保有国の首脳が平和公園の記念碑の前で1枚の写真に納まったのは
大きな成果ではないかと思います。

 

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